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2006年11月19日

一応の推定

タイトルは数ヶ月前に文芸春秋から刊行された本のタイトルで、今年度の松本清張賞受賞作。おもしろかった本とかためになった本とかは挙げればキリがない。あえてそのなかでこの本を紹介するのは以前、住んでいたあたりが事件の発端になっている推理小説だからだ。

競馬専門紙の現場トラックマンだった頃は栗東トレセンの近くに住んでいた(近くといっても車で15分ほど要した)。トレセン近辺に住んでいるトラックマン達は週末に競馬場へ行く際、ほとんどは会社ごとに乗り合わせて数台の車で向かう。ただ、自分は人の車に乗るのがイヤで電車を利用していた。休みの日に京都や大阪へ出るのも電車を利用する。最寄りの駅は石山駅。ちなみに、大阪や京都から栗東トレセンへ行く場合、草津で降りるのが一般的で、その三つ前の駅が石山駅だった(源氏物語で有名な石山寺はこの駅からバスに乗ります)。

で、この「一応の推定」の舞台となっているのは、石山駅のひとつ西の駅である膳所駅(つまり、ひとつ京都寄りの駅)。膳所駅で乗り降りすることは少なかったが、駅や周辺の風景はよく覚えている。そのあたりが克明に描写されていて、思わず引き込まれてしまった。特に膳所駅に主人公が訪れるパートを阪神電車で三宮から梅田へ向かっている際に読んでいたので、小説からふっと現実に戻って、「あれっ、ココどこやったかな」とエアポケットに入ったような気分になった。

それだけ、緻密な描写というわけだが、作者の広川純氏は1946年8月生まれ。60歳で賞に応募されたというのだから、立派だ。最近、ストーリー展開が派手とか、いくら小説とはいえむごい結末の本にうんざりしていたが、この本はそうではなく、ヘンな表現だけれども安心して推理できた。現実の世の中で悲惨な事件が多すぎるからか。昔は、現実がある程度、先が読めるので、推理小説でハラハラしたいというのがこのカテゴリーの本を購入する動機だった。昔がよかったということではないが、現実と小説の世界が逆転したような思いになる。

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